■東さんの絵を見続けていると、生あるものが解体し、見知らぬものとして再生してくる現場に
立ち会っているような気がします。
内側から溢れる心像が、入念な構想と緻密な技法で「目に見えるもの」となり、個展の度に
新しい変奏を聴かせてくれるかのようです。
美しい絵肌の奥に、この人だけが負っている重い主題が透けて見え、或る時は予想を超える
展開果てに、物としての画面は消え去り、開かれた一つの世界が現れる。
その時、作者と私は同じ場にいるように思われ、強い共感を覚えます。
春陽会会員 成川 雄一
宿るもの 3F