群がる S40
■共感、感動、そして共棲へ
奥田さんのアリとの付き合いは30年になる。
もはやアリ狂いである。私はアリの作品しか知らない。
アリの生態をあらゆる視点からとらえているが、ことにもアリの頭部の造形は感動的
でさえある。まるで兜をかむったようで、ときには可愛くもあり、また恐ろしげでもあるが、
その凛々しいまでの威厳ある表情には理性、哲学さえ感じさせる。
新作の、女王蟻の亡くなった、アリのいないアリの巣へそそぐ奥田さんの眼差しは
尋常一様ではない作品を生み出している。
美術評論家 中野 中